最後にまとまって眠れたのは、いつでしたか?
夜中の2時。ようやく寝かしつけた赤ちゃんを布団におろした瞬間、また泣き声が。 授乳して、おむつを替えて、抱っこして、ゆらゆら揺らして。気づけば外は明るくなりはじめている……。
「あと少し眠れる」と思って目を閉じても、体のどこかが緊張したままで、赤ちゃんの小さな物音に何度も目を覚ましてしまう。
朝、起き上がっても頭にずっと霧がかかったようで、簡単な言葉がパッと出てこない。ちょっとしたことで涙が出たり、イライラしたり。「どうして私はこんなに余裕がないんだろう」と、自分を責めてしまうことはありませんか?
もし、いま心当たりがあるなら、それはあなたの心が弱いからでも、母親に向いていないからでもありません。
そして、そう感じているのは、あなただけではないんですよ。
これは、ほとんどのお母さんが通る道です
世界中の研究を集めて分析した大規模な調査によると、産後のお母さんのおよそ3人に2人(67.2%)が、睡眠の質の低下を経験しています。ある研究では、産後に不眠の症状を抱えるお母さんは最大で87.5%にのぼると報告されているほどです。
つまり、眠れずに朝を迎えるあの感覚は、特別なことでも、あなたの努力が足りないせいでもありません。世界中の、ほとんどのお母さんが通ってきた道なのです。
数字で見ると、その過酷さはさらに重く響きます。 2025年にワシントン州立大学の研究チームが、初めて出産したお母さん41人の睡眠を、妊娠前から赤ちゃんが1歳になるまで追跡しました。
すると、産後最初の1週間の睡眠時間は、1日平均わずか4.4時間(妊娠前は7.8時間)。さらに、続けて眠れる最長時間は、妊娠前の5.6時間からたったの2.2時間にまで落ち込んでいました。参加者の約3人に1人は、最初の1週間で「24時間以上まったく眠れない日」を経験していたそうです。
研究者はこの結果について、合計で7時間眠れているように見えても、新米ママが疲れ果てている理由はここにある、と述べています。眠りが細切れに分断されてしまうかぎり、たとえトータルの時間が足りていたとしても、体と脳は本当の意味で回復できないのです。
「みんなやっているから」が、限界をつくってしまう
ここで、もうひとつお伝えしたいことがあります。
「ほとんどのお母さんが経験する」という事実を、「だから我慢して当たり前」と捉える必要は決してありません。むしろ、その逆です。
「みんな乗り越えているんだから、私も頑張らなきゃ」。そう思って歯を食いしばり続けていると、助けを求めるタイミングを少しずつ逃してしまいます。 気づいたときには、心も体もすでに限界を超えている……これは、本当に多くのお母さんに起きていることです。
睡眠科学の有名な研究では、17時間以上続けて起きていると、認知機能や反応速度が「血中アルコール濃度0.05%」まで低下することが分かっています。これは、多くの国で飲酒運転とされる水準です。
慢性的に細切れの睡眠を続けているお母さんは、いわば「ほろ酔い」に近い状態で、人生で最も繊細なケアを24時間こなしているようなもの。それを「気合い」だけで乗り切ろうとするのは、どう考えても無理な話なのです。
慣れない国での、子育ての孤独
そしてもうひとつ、この負担が重くのしかかるお母さんたちがいます。
日本から移住してきて、慣れない国で出産された方。すぐ近くに実家も親戚もいなくて、「ちょっと数時間だけ見ていて」と気軽に頼める相手が、そもそもまわりにいない方です。
実は、これは私自身の経験でもあります。 私もオーストラリアに移住し、こちらで結婚し、出産しました。けれどそのとき、ママ友は一人もおらず、家族もそばにいない。知り合いさえいない状態で、本当に右も左も分からないまま子育てが始まりました。
海外で子育てをしているお母さんの中には、同じような孤独を抱えている方が、決して少なくないのではないでしょうか。そこへパートナーの出張や残業が重なれば、昼も夜も、ひとりで赤ちゃんに向き合う時間が長くなってしまいます。
これは、気持ちの持ちようの問題ではありません。 数多くの研究が、周囲からのサポート不足は「産後うつ」の最も強いリスク要因のひとつであることを示しています。日本のお母さんを対象にした調査では、パートナーからも周囲からも十分なサポートを得られないお母さんは、両方から支えられているお母さんに比べて、産後うつの兆候を示すリスクが7倍以上にのぼるというデータもあるほどです。
頼れる人が近くにいないというのは、それほどまでにお母さんの心と体を追い込んでしまいます。だからこそ、海外で奮闘するお母さんにこそ、我慢ではなく「安心して頼れる場所」が必要だと、私は心から思っています。
睡眠は、何よりのケアです
睡眠不足が及ぼすのは、日中の眠気だけではありません。研究では、睡眠の質が落ちることが、産後うつや不安、気分障害のリスクを高めることと深くつながっていることが分かっています。眠れないことは、心の不調へと静かにつながっていくのです。
逆に言えば、まとまった睡眠を取り戻すことは、お母さんにとって何よりのケアになります。
ここで大切なのは、研究者たちが口をそろえて指摘しているポイントです。お母さんに本当に必要なのは、細切れの昼寝を重ねることではなく、「だれにも邪魔されない、まとまった睡眠時間を確保すること」。短いうたた寝を何度繰り返すよりも、一度しっかりと続けて深い眠りにつくほうが、ずっと深く体を回復させてくれます。
選択肢のひとつとして、プロに任せるということ
「全部、自分でやらなきゃ」と抱え込まずに、睡眠の時間を取り戻すための選択肢のひとつとして、KOKOROの産後サポートがあります。
昼でも、夜でも。数時間だけでも赤ちゃんを預けて、その間にまとまった睡眠を取る。
KOKOROで産後サポートを担当するスタッフは、保育士資格を持つ子育て経験のあるママスタッフや、そして看護師です。また、スタッフはファーストエイド(応急手当)やCPR(心肺蘇生)の知識、 shadow Blue Card(子どもと関わる仕事に必要な資格)を保持しています。
睡眠不足から来る心と体の疲弊は、自分が思っている以上に深いものです。だからこそ、数時間でも細切れではない、まとまった睡眠をとることは、お母さん自身の健やかさを保つために大切なことだと考えています。頭の重さが少し和らいだり、気持ちにほんの少しゆとりが生まれたり。そんな時間を過ごしていただければと思っています。
お手伝いできるのは、睡眠のための時間だけではありません。上のお子さんのケアや、お部屋の整理整頓など、お母さんが少しでもゆっくりできるよう、暮らしのまわりのお手伝いもいたします。
なお、「作り置きはお願いできますか?」というご質問もよくいただきます。お料理や作り置きへの対応は、担当するスタッフによって異なりますので、ご希望の場合は事前にご相談くださいね。
オーストラリアで子育てをするご家族のそばで、日本語で安心して頼れる場所でありたい。それが、KOKOROの願いです。
もし今、ひとりで抱え込んでいる方がいたら、まずはご相談だけでも参っております。
「こんなこと相談してもいいのかな」と思うようなことでも大丈夫です。どうぞお気軽に、LINEからお声がけくださいね。
お母さんが笑顔でハッピーでいられることは、赤ちゃんにとっても、ご家族全体の幸せにとっても、本当に大切なこと。
一人で抱え込まずに。 こんな選択肢も、心の片隅に置いていただけたら嬉しいです。
この記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、医療上の助言に代わるものではありません。気分の落ち込みや強い不安が続く場合は、かかりつけの医療機関、または PANDA、Beyond Blue、Lifeline、13 HEALTH などの専門窓口にご相談ください。緊急の場合は Triple Zero(000)へ。
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